Topics!!

「脳梗塞のリハビリの場合」メニューにコンテンツを追加!New!!
2012年11月23日:脳梗塞のリハビリ方法

脳梗塞のリハビリ方法

ここでご説明することはあくまでも参考の情報としてご活用いただき、リハビリテーションをされる前には、必ず担当の医師に相談し、指示にしたがってください。

■ 脳梗塞のリハビリの3つのステップとは?

脳梗塞のリハビリで最も大切なことは何でしょう。

それはどれだけ早くリハビリを開始することができるかです。

なぜ、そんなに急いでリハビリを開始しなければならないのでしょうか。

それには2つの大きな理由があります。

まず、1つ目の理由が、人間の体、特に筋肉と関節は使わないでいると、どんどん衰えていくからです。

筋肉はどんどん落ちていき、関節はどんどん硬くなってしまいます。

したがって、脳梗塞が起きて意識が回復した後、医師の許可がでれば、すぐに動かし始めることが求められます。

2つ目の理由が、リハビリには「6ヶ月の壁」という回復のリミットがあるとされているからです。

6ヶ月の壁という言葉があるとおり、一般的には、脳梗塞を発症してからリハビリによって体の機能を順調に回復することができる期間は6ヶ月後までで、それ以降はリハビリを実施しても思うように回復の効果が得られなくなるそうです。

ですので、このように回復には時間的な制約があることからも、なるべく早くリハビリを始めることが求められます。

それでは、いち早く始めなければならない脳梗塞のリハビリですが、発症後に、どのように進めていけば良いのでしょうか。

実は、脳梗塞のリハビリの進め方は、発症後からの期間によって、3つのステップに分けられて実施されることになります。

最初のステップ@は、「急性期のリハビリ」といって、脳梗塞が発症してから1〜2週間の期間のリハビリで、早く始める理由の1つ目で説明した、動かさないことによる体の衰えを防ぐためのリハビリをします。

次のステップAは、「回復期のリハビリ」といって、3週間目から6ヵ月の期間のリハビリで、早く始める理由の2つ目で説明した、元の体の状態を取り戻すことができるリミットである6ヶ月までの間に、体の機能を回復するためのリハビリをします。

最後のステップBは、「維持期のリハビリ」といって、6ヵ月後から一生涯続けるリハビリで、ここからは、回復期に取り戻した機能をずっと維持するためのリハビリをします。

以下では、これらのそれぞれのステップでのリハビリ方法について説明します。

また、最後に、最近発案された6ヶ月の壁を克服できる新たなリハビリ方法についても少し紹介したいと思います。

■ ステップ@の急性期の脳梗塞のリハビリ方法とは?

ここでのリハビリの目的は、発症後すぐで、麻痺によって動かない部分の筋力の低下と関節の硬直などを、如何に防ぐかということになります。

リハビリの専門用語としては、このように動かすことができないことによって生じる体の機能低下を、廃用症候群(はいようしょうこうぐん)と言います。

文字通り、体を動かせない(≒廃用)ために起こる症状(≒症候群)ということです。

では、具体的にその症状というのは、どのようなものがあるのでしょうか。

具体的な症状としては、筋肉が痩せ細ってしまったり、関節が変な形のまま固まってしまったり、床ずれで皮膚がただれてしまったり、骨の密度が下がり折れやすくなってしまったりします。

これらの症状を防ぐために、発症後から1〜2週間の急性期に行う主なリハビリを3つご紹介します。

1つ目は、ベットに横になった状態で体の向きを変える動作です。

ここでは付き添いの方に手伝ってもらって、ゆっくりします。

この動作をすることによって、床ずれを防ぐことができます。

2つ目は、手や足などの麻痺している部位を正しい位置に固定するということをします。

特に、手の関節などは曲がった状態のまま固まってしまうことがあるので、伸ばした状態にします。

また、足もまっすぐに伸ばした状態にするようします。

これによって、麻痺してしまって動かせない関節部分が変形した状態で固まってしまうことを防ぎます。

3つ目は、麻痺して動かない部位の関節を、麻痺していない方の手を使って、曲げ伸ばしします。

自分ですることが難しい場合は、付き添いの方にしてもらっても大丈夫です。

これによって、動かせない部位の筋肉や骨を鍛えるとともに、関節が固まってしまうことを防ぎます。

以上の3つだけでも、発症後のベットの上でするだけで、体の衰えを食い止めることに効果がありますので、次の回復期のリハビリを始める際に、スムーズに取り組むことができるようになります。

■ ステップAの回復期の脳梗塞のリハビリ方法とは?

ここでのリハビリの目的は、急性期のリハビリで体の衰えをできるだけ防いだ後に、本格的に失われた機能を取り戻すことです。

具体的なリハビリ方法としては、運動訓練と作業療法の2つを実施していくことになります。

歩行訓練では、病院のリハビリ器具を使って、補助をつけた状態で歩行の練習をしていきます。

手すりにつかまって歩行したり、歩行器を付けて歩行したり、杖をついて歩行したり、付き添いの方に寄り添ってもらって歩行したりします。

日常の生活を取り戻す上に、まず基本動作になるのが歩行ですので、回復期のリハビリの中でも特に重点的にこの訓練をすることになります。

次に、作業療法では、日常の動作に必要になる作業を訓練します。

作業療法で行うことはとてもシンプルで、麻痺している状態の中で、日常でこれまで行ってきた動作を、元通りにできるように反復することです。

具体的には、ベットに横たわっている状態から上体をおこしたり、さらにベットの端に足を出して座ったりする基本動作から、洗顔、歯磨き、トイレ、食事、着衣、入浴、筆記、洗濯などの応用動作まで様々な訓練をします。

他にも代表的な作業としては、サンディングやペグボード、利き手交換などもあります。

サンディングとは、英語で書くとsandingという「砂やすりをかける」という単語で、麻痺している腕をつかって、やすりをかけるような動作をする作業です。

この作業は、椅子に座って、机の上においてある傾斜のある台の上で、麻痺した手で木の板をもって、やすりをかけるように上下に板を滑らせながら動かします。

これによって、麻痺した半身の肩を動かす訓練ができます。

次に、ペグボードですが、これは穴のあいている木のボードに、ペグ(木の釘)を差し込む動作をします。

これによって、麻痺した指で物をつかんだり、ひねったりする訓練ができます。

最後に、利き手交換とは、その名のとおり、利き手と逆の手で作業する訓練です。

これは、利き手側の麻痺が重く、回復が難しいと見込まれる場合に、社会復帰した際に、麻痺のない利き手と反対の手を使って日常生活をできるようにするために行います。

具体的には、利き手と逆の手で箸を持って、一方の器に入っているビー玉を、もう一方の器に入れるといったような作業などをします。

以上、いくつかの作業療法をご紹介しましたが、他にも様々な方法があるので、回復期のリハビリにあたっては、医師や作業療法士の指示に従ってご自身にあったリハビリ方法を行ってください。

■ ステップBの維持期の脳梗塞のリハビリ方法とは?

ここでのリハビリの目的は、回復期のリハビリで取り戻した機能をこれからずっと先まで維持しながら、日常生活を取り戻していくことです。

維持期のリハビリとして行うことは、一言でいうと日常生活で必要な動作を自分自身で行うこと、ただそれだけです。

自分で、朝起きて顔を洗い、着替えをして、料理を作ってそれを食べて、お皿を洗い、歯を磨き、洗濯をして、階段を上り、ベランダで洗濯物を干して、夕方買い物に行き、お風呂に入って、布団を敷いて、眠りにつく。

そんな脳梗塞を発症する前には、当たり前だった日常の一つ一つの動作を自身で毎日行うこと自体が、維持期のリハビリとなります。

とは言いつつも、自宅でリハビリをする際には、完全に麻痺がとれていない状態の中では以前とまったく同様に日常動作をするのは難しいと思います。

そのような場合には、階段やお風呂に手すりをつけたり、床に滑り止めをつけるなど、リハビリをしやすい環境に自宅がなるように、リフォームを行うということも良いと思います。

但し、どうしても自分一人だけでは心細いという方は、リハビリ病院に通院したり、訪問リハビリテーションを受けることもできるので、医師にご相談ください。

■ 6ヶ月の壁を克服する新たなリハビリ方法とは?

最初にお話したとおり、リハビリには6ヶ月の壁という言葉があり、発症から6ヶ月後まではリハビリをすればするほど体の機能が回復しますが、7ヶ月以降はリハビリの効果がガクンと落ちます。

しかしながら、ここ最近になって、6ヶ月の壁を克服できる、つまり、発症から7ヶ月以降の時間が経過しても、リハビリの効果が得られる方法が見つかりつつあります。

それでは、そのリハビリ方法を2つご紹介しましょう。

まず1つ目は、ボツリヌス療法といいます。

このリハビリ方法では、ボツリヌス菌という毒素を1,000倍以上に薄めて、リハビリをする部位に注射器で打ちます。

すると、不思議なことに、発症から時間が経過して、固まってしまっていてリハビリが思うようにできなかった関節が動かせられるようになります。

実は、6ヶ月の壁以後のリハビリを困難にしていたのは、「筋紡錘(きんぼうすい)」という筋肉が伸びすぎないようにコントロールする神経が、関節の筋肉に対して過剰に縮まるように指令を出していたからなのです。

人間は、熱いものを触ったり、痛みを感じた時に、「反射」といって、脳の指令ではなく、神経が指令を出して、とっさに腕を縮めることができます。

これは脳ではなく神経が直接筋肉に指令を出しているのですが、筋紡錘(きんぼうすい)は筋肉が伸びすぎないように縮める反射の指令を出す神経なのです。

6ヶ月を超えてくると、リハビリの効果が出にくくなってくるのは、脳の回復力が落ちているのではなく、筋紡錘(きんぼうすい)が筋肉を縮める指令を間違って過剰に出すぎて、リハビリしたい部位を動かすことが出来なくなってくることが大きな要因の1つにあるようです。

そこで、さきほどのボツリヌス菌を打って、筋紡錘(きんぼうすい)の働きを一時的に弱めることで、筋肉の硬直がとれて、その間に、リハビリを行うことができるのです。

この治療方法は保険適用対象なので、6ヶ月の壁を越えて諦めている方がいらっしゃれば、ぜひ一度医師に相談してみてください。

さて、次の2つ目のリハビリ方法は、磁気刺激療法といいます。

このリハビリ方法では、脳梗塞で損傷した側の脳と、逆側の脳に磁気をあてて、その活動を抑えるということをします。

つまり、脳梗塞が右脳で起きた方に対しては、磁気を左脳にあてます。

なぜ、元気な方の脳の活動を抑制するのでしょうか。

それは、実は、右脳と左脳というのは、常に、どちらか一方が活性化しすぎないように、お互いを抑制しており、脳梗塞になるとそのバランスが崩れて、元気な方の脳が、損傷を受けた側の脳の働きを押さえつけてしまうからなのです。

ちなみに、右脳と左脳がお互いの働きを抑制するこの性質のことを、「大脳半球間抑制」といいます。

そのため、6ヶ月の壁を超えると、より元気な脳が、機能を回復させたい側の脳の働きを押さえつけ、リハビリの成果が思うように出なくなるというのです。

そこで、この治療方法では、磁気によって元気な脳の活動を弱めて、損傷のある脳の働きを抑制しないようにして、その間に、リハビリをすることで機能の回復が図れるようになるのです。

このリハビリ方法はまだ研究段階ですが、もし興味があれば、かかりつけの医師に相談してみると良いと思います。

以上でご説明してきたように、脳梗塞のリハビリは、発症からの時期によって、急性期、回復期、維持期と3つのステップに分けられますが、時間が経っている方であっても、医学の進歩のおかげで、まだまだ回復の扉が待ち構えています。

ですので、6ヶ月の壁を越えた方でも、諦めずに前向きにリハビリに取り組んで頂けばと思います。



用語の説明

上記の説明で使った専門的な用語を簡単に説明します。

ボツリヌス菌
自然界に存在する細菌の一種で、土の中などに生息している。